思考のブラインドスポット

時折、思いがけないことに気づいて、

何かが「わかった💡」と思う時って、

あると思います。

例えば、

自分が病気になってはじめて、

病気そのものより、

周囲の機微（キビ）にダメージを

受けることがあると気づいて、

病気や病人への意識が変わったり、

会社を辞めてみて、

それまで何年も毎日会っていた人たちと

急に二度と会わなくなる不思議を感じたり、

気の合わない人たちと離れてはじめて、

心が和らぐ感覚を感じ、

自分の素直な気持ちに気づいたり、

豊かな自然の中で心が解放されて、

自分に必要なこと不要なことに気がついたり、

などなど。

小さなことから、大きなことまで、

ふとした時に「はっ」として

何かに気がついて合点がいく。

閃きのように

「わかった💡」と感じる経験は

誰もがあると思います。

そして、その何かが「わかった」瞬間は、

同時に、私たちが人生において、

「わかっていなかった」

「人にはわからないことの方が多い」

と気がつける瞬間でもあります。

自分の無知を自覚する瞬間です。

そういった自分の足りなさに気がつくことは、

何かをわかるのと同じくらい、

あるいは、それ以上に

大事なのではないかと思うのです。

器が大きい人ほど謙虚で優しいのは、

無知の知（＊）に所以しているのでは

ないかと思います。

（加筆　＊無知の知だとこれまた「知っている」

とことになるので、最近は「不知の自覚」と

訳す方がソクラテスの表現に近いと

後日、息子が教えてくれました）

だけど、意外と、

その「わかっていない」という事実は、

盲点になりやすいのです。

「わかった」ことに気を取られて、

それまでは「わかっていなかった」

「いまだ、わかっていない」ということは、

見落としてしまいがちです。

ゲームなどで、１ステージクリアすると、

次のステージのゼロ地点に立つように、

人生においても、何かを「わかった」と

思って課題をクリアすると、

同時に、人生における次の段階のゼロ地点に

立つことになる。

そうやって考えると、

本来、人は何かを「わかった」時点で、

自分がリセットされて、

新たなゼロ地点にいることを

自覚しないといけないと思うのです。

人は、何かがわかると、

傲慢になりがちな面があって、

「私は、わかっている」と言う態度を

とってしまう場合も多いけれど、

訳知り顔になった途端、

人は、無知な姿を晒すことになります。

それは、１を知ることで、

１０を知った気になってしまうから。

でも、１を知ったら、

残りの９は知らないと気づかないといけない。

だから、私たちは、自分の盲点を

見ないといけないと思うのです。

話は、実際の「眼の盲点」に寄り道します。

私は、眼球が変形で遺伝的に緑内障に

なりやすい体質なので、

念の為、毎年、視野検査を受けています。

視野検査の経験がある方はご存知かと思いますが、

この検査、ものすごく疲れます😅

片目ずつ、視点を動かさないままの状態で、

どこまで見えているか検査をするのです。

医師が説明してくれたのですが、

私たちの眼は正常であっても、必ず、

それぞれの眼に盲点があって、

片目だけでは見えない部分が

それぞれ一箇所ずつあるのです。

普段、不自由なく見えるのは、

もう片方の目がその盲点を見て、

互いに補いあっているからだそうです。

面白いですね👀

それと同じで、自分のやっていること、

感じていることも、他の角度からも

きちんと見る必要があるのではないでしょうか。

視野検査の後で先生が毎回

「ここはね、盲点だから見えてないけれど、

心配ないですからね〜」

と言うたびに、そう思うのです。

小さな世界観でしか見えていないと、

全部わかった気になって

「私はわかっているのに、

なぜ、周りは私を認めない」

という気持ちが漏れ出て、尊大な態度になって、

いわゆる勘違いさんになってしまうのだと思うのです。

その勘違いは、周りには見えるのに、

本人は見えない状態です。

本人は、いっぱしに振る舞っているつもりで、

威張りん坊になっているけれど、

周りから見ると、滑稽で失礼だったりします。

周りから見ると、おかしいし、

人も離れていくから、

視野を広げたり、他の角度から見たり、

心の目でしっかり見つめたりするのが

大事だなとつくづく思いました。

本当に何かをわかった時こそ、

自分の小ささに気づかされる気がします。

私も自分を省みて、

気をつけたいと思います。