王道は、やはりすごい

息子が小学生の頃、美容室で髪の毛を切ってもらっている間、

若い美容師さんと店長さんと私で、息子を楽しませようと

漫画やアニメについて話をしていました。


若い美容師さんが、息子に好きなキャラクターを聞くと、

息子は、主役ではない渋めなキャラクターをあげました。

すると、息子と仲良しの若い美容師さんは、

「さすが、いいね!僕もだよ〜」と意気投合。

それから、若い美容師さんも

ちょっとニヒルなキャラクターの名前をあげました。

息子を囲みながら皆で、

「うんうん、どっちもかっこいいよね〜」なんて話していました。


その後、若い美容師さんは私に向かって無邪気に、

「おかあさん、聞いてくださいよ〜

店長って、ものすごく王道のキャラが好きなんですよ。

なんか、店長って王道なんすよね〜」とふざけ半分だけど、

どこか真面目な疑問として、

『店長ちょっとダサいんじゃないか疑惑』

を訴えてきました。笑


たぶん、彼が店長さんのことを慕っているだけに、

「店長、なんで、王道なのよ〜」と思ったのでしょう。

若い彼からしたら、尊敬する先輩には、もっと風変わりでとがった感じ、

破天荒さを見せて欲しいと望んでいたのかもしれません。


その店長さんは、とても優秀で感じの良い方。

新人の頃から、子どものカットまでとても上手。

小さいお子さんがいると感じると思いますが、

髪がまだ少なくてサラサラな子どものヘアカットは

腕によって仕上がりが全然違うのが、素人目にもわかりますよね。


店長を任されるだけあって、接客もとても丁寧、

ダサいどころか、人としても、カットのセンスも良い方です。

接客と店員指導で、あらゆるタイプの人間に臨機応変に対応するには、

きっと引き出しの数も多いでしょうし、他の人にはない能力があるから、

店長として慕われたのだと思います。

ただ、若い美容師さんからすると、こんなにデキる人なのに、

「尊敬する店長よ、なぜ一般大衆と同じキャラを選ぶ?なんで王道?」

と思ったのかと思います。

若い頃って、型破りなものが特別に感じられて憧れるのはわかる気がします。

全然、嫌な感じではなく、無邪気で純粋な可愛らしい疑問という感じでした。


そんな無邪気さに思わず息子の友達とでも話している感覚になって、

うっかり私は、

「だって、ほら、そりゃそうだよ。全てを網羅している王道だから、

まさに、全てを統括している店長さんの目線と同じで共感するんじゃないかな。

ダサくないよ、リーダーだからこそだよ。すごくいいじゃない。」

と言ってしまいました。

ちょっと面食らった顔で「そっかあ、ふーん」と考えている様子でした。

今更ながら、明け透けに悪かったかなと、10年以上前のことを反省。


関係ないのですが、当時の彼は、もし、ワンピースの悪魔の実が手に入って、

一つ能力が得られるなら「袖から唐揚げが延々と出る」能力が欲しい

と真顔で息子に教えてくれたそうです。笑

人見知りだった息子と仲良くしてくれてありがとうございました。

おかげで、息子は美容院に行くのが嫌いじゃなくなりました。大感謝です。

時々息子と、「元気にしているかな、どうしてるかね。」と思い出しています。


話は、王道の話に戻りますが、王道が大勢の琴線に触れるのは、

事細かに多くの要素を含んでいるからだと思います。

考えが表面的な人、考えの深い人、深いようで浅い人や、浅いようで深い人、

様々な角度からアプローチしても、

あらゆるタイプの人にも繋がれる要素が入っているから、

大勢に愛される。やはり「王道はすごい」ですね。


本も、映画も、音楽も、王道のものは、「ああ、あれでしょ」と思うことがあっても、

実際に味わってみると、想像と違うすごさがわかるので、

王道は体験することが大切だと思います。

「ああ、あれね」と思っている部分の行間がすごいですよね。

例え、あらすじを知っていたとしても、

その結末の「ああ、あれでしょ」へたどり着くまでのプロセスの中に、

想像の斜め上からのアプローチがあったりして、

シンプルなのに濃いのが素晴らしい。

それぞれにとっての絶妙な快感を与えてくれるのだと思います。


例えば、黒沢明監督の「七人の侍」は、世界中でメジャーな映画です。

良い映画なのは、周知の事実かもしれません。

はたまた、メジャーなだけに三船敏郎の演技に難癖つける人も、

単なるエンターテインメント映画だと言う人もいます。

でも、そういうことじゃない。

俳優陣の存在感、映画全ての空気感、存在感がすごい。

白黒で古い映像なのに、今見ても新鮮で粋です。

実際に見てみると、小さな動き、息遣い、

「ああ、あれでしょ」というあらすじを彩る詳細は、

決して「ああ、あれでしょ」ではない。

私の周りで黒沢映画を見たと言う人は、外国人の方が日本人より多いです。


ダヴィンチの「モナリザ」

私はパリに行くたびに必ずルーブルに行って、モナリザを見ます。

日本で、パリ、ルーブルなどヨーロッパのメジャーなところにいった話をすると

「私は、もっと変わったところがすき。」みたいなことを言う人がいるけれど、

「そういうことじゃないんだよね。」と思ってしまう。

ルーブル神社のモナリザ参拝という気持ちです。

何度拝んでも、その深み、存在感には圧倒されてずっと見ていたくなる。

並んでいるから、順番で警備員に絵の前から追い出されちゃうけれど。

ヨーロッパに住んでいる時に何回か行きましたが、

毎回パリに行くと、ばかみたいにお上りさんです。笑

ちなみに、東京生まれ、東京育ちでもありますが、

浅草大好きです。江戸を感じて憧れます。


王道は、やはり全てを網羅しているから「王」ですよね。

そんなことは、当たり前なのですが。

ただ、そうやってメジャーになると、メジャーだからこそ、

「ああ、それね、王道だね。」とありきたりな選択肢のように

上から目線で言う人が結構いるので

「いやいやいや、やっぱり王道はすごいよ。」と改めて言いたくなるのです。


メジャーなものほど、何度も何度も見たくなって、

みるたびに虹のように色々な彩りが楽しめる。

見ている時によって、感じ方も変わる。

それが、王道の持ち合わせる力だと思います。


さて、この先はおまけの話。

内容は少し変わり、私の意地悪な毒舌が披露されるので、

ここでお別れの方は、ここまでありがとうございました(^人^)

そして、この先を読んだ方で気持ちよくなかったら、ごめんなさい。


前半の話のように、子どもや若者が、ちょっと尖ったことを言うのは、

愛らしいと思います。

ところが、40代超えた中高年のそれは痛いです。


私はよく日本の中高年の人に

「私って、変わっているんです。」と主張されることがあります。

これって、よくあることなのか、私だけなのかよくわからないのですが、

たぶん、マウントの一種ですかね。

こういう主張をする人は、個性的でもなんでもないことが多いです。


いい歳して、そんな態度をとる人は、本人は自分が深いと思っているけれど、

赤ちゃん用プールくらい浅くてぬるい。


そういう話が合わなそうな人に、好きな映画や本について聞かれると、

答えるのが難しいです。趣味が違いそうだから、いろいろ考えた挙句、

相手と共有できそうな作品をあげると、

小馬鹿にしたように「王道ですね」と言われるとうんざりします。


ある時、40代の女性と話をしていると、

「自分は本が好きなのだ」とアピールされました。

私も読書が好きですが、会話の流れからその方とは、

あまり詳しく本の話をしたくありませんでした。

合わなそうだし、マウントを取りたそうだと感じたので。


話題を変えたりしていたのですが、

結局「何が好きですか?」と質問される運びとなりました。


もしも、正直に、

「私は、文学好きな人ほどに丁寧に本を読めていませんが、

安部公房、夢野久作、ロアルドダール、ニーチェやカミュも好きで、

三島由紀夫、吉本ばなな、伊坂幸太郎、ビジネス本、新書などなどなんでも読みます。」

と正直に話したら、その方は多分、

「は、それ誰ですか?」と言いそうだったので、

その時に読み終わった、村上春樹の本をあげました。

村上春樹が好きなのかと聞かれたので、

「好きです。」と言うと、

「ああ、そうなんですね、私は、そういう『メジャー』なのはあまり好きじゃないんで。」

と言われました。


なので、変わった本にも興味があったので、

「そうですか、どんな本を読むのですか?」と聞くと、

「ヒガシノケイゴが好きです。」と。

メジャーじゃないヒガシノケイゴとは、あの有名な東野圭吾先生とは違うのかい?

と思いつつ、意地悪な気持ちは横に置いて、

「面白いですよね。私も数冊、読んだことがあります。」とお答えしました。

「何読みました?」と聞かれたので、いくつか読んだ小説をあげました。

すると、「はぁ、そうですか。」と言われてしまいました。

王道過ぎたのでしょうか。

オススメがあれば読んでみたいと思って、

「オススメありますか?」と聞くと、

「どれもいいですよ。」と言われ、椅子から転げ落ちそうになりました。

頭が痛くなってしまった。


本は、読んで内容は忘れるタイプの読書家さんも

いらっしゃるようなので、そういうタイプかもしれないと、

好意的に思うことにしました。人それぞれ、好きにしたら良い。

だから、こちらも放って置いてほしい。


気持ちの悪い会話に悪酔いして家に帰り、

娘にその話をすると「何それ〜🤣」と

東野圭吾メジャーじゃない説に大うけしてくれました。


最後は、意地悪な愚痴になってしまい、すみません。

王道は、なめたらいかんという話でした。


#王道 

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