無理に、心の傷を消そうとしなくていい(介護師さんから聞いた話)
心の傷は、消えないんです。
と聞くといやですよね。
でも、だからこそ、
消えないことを恥じたり、
無理に消そうとしたり、
消えないことを恐れないでほしいのです。
これは、私が傷を癒そう、消そうとして
いろいろなことにチャレンジし続けた
結果に導き出した答えです。
私の経験では、心の傷は、
傷そのものより、
無理やり消そうとする時に
感じるからなんです。
忘れよう、克服しようと思っても
うまくいかないと、
「私の努力が足りないんだ」って
落ち込んだりました。
でも、心の傷は、勲章です。
自分の一部、個性でもあり
お友達だと思うことにしてから、
気持ちが楽になりました。
以前、知り合いの介護士さんが
患者さん親子の話をしてくれました。
患者さんは、90歳男性。
車椅子に乗っていて
もう一人では動けない状態。
ちょっと手のかかるその患者さんは、
その介護施設では、手が足りないことや
手続きなどのことで
家族の人に来てもらうことが必要でした。
70代の息子さんが来たので、
父親の車椅子を押してほしいと
お願いすると、
過呼吸になったそうです。
息子さんは
「いやです。父親は、怖いんです。
暴力を振るわれるから」
と言って、とんでもなく
怯えてしまったそうなのです。
この息子さんは、
子どもの頃、この父親に
虐待をされていたのですね。
お気の毒に…
とはいえ、今では、一人で
立つことすらできない
意識も曖昧なおじいさん。
70代の男性に何もできない状態です。
介護師の彼女は、私に、
呆れたような様子で
「もう、そんな動けもしない
おじいさんなのに
何が怖いっていうのよ。
むしろ息子に、手がかかって困るのよ」
と。そして、さらに、
「私の兄も昔の父親に暴力を振るわれたことを
40代の今でもまだ怒っていて、
バカみたいだ。いつまで言ってるのかしら」
と言ったのです。
きっと、患者親子と、
ご自分の家族が重なったのでしょう。
聞いていて、心が痛みました。
ここで大事なのは、
「この息子さんは、
決してバカみたいではない」
と言うことです。
この患者のおじいさん、
今現在、息子さんが、
エイッと押したら、
簡単に骨折&大怪我で
「肉体的に」
やっつけられことでしょう。
それなのに、大人の男の人が
恐れると言うことは、
よっぽどの心の傷を負っていると
言うことです。
息子さんは、
昔の残像を拭えなかった。
それを「バカみたい」と言う態度で
扱ったのは、暴力的だなと思いました。
介護師の彼女は、
さすがに息子さんに直接、
「バカみたい」とは
言わなかったようですが
イライラして厳しい態度を
取ったそうです。
その人は、その日、
余計に傷ついたことでしょう。
「拒絶したことを、拒絶される」
のは、救いがないくらい辛いです。
だから、多くの人に知ってほしいんです。
傷は、消えるものではないと言うことを。
簡単に「もう昔のこと」とか
「傷は時間が癒す」とか
「乗り越えろ」とか
そう言うものではないことを。
そして、傷を抱えている方は、
傷を抱えたまま、それと
どうやって生きていこうかな、
と言う発想を持つと、
少し楽になると思います。
傷があってもいい。
傷も自分の個性。
心のデザインや勲章だと思って、
今ある状態で、どうしたら
安心できるか、楽しいかを
探れるといいのかなと
思っています。
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