言葉の力
たいてい言葉には、発した人の中身が反映されると思います。
知力、感情、思考、性格、気分、ニュアンス。
会話をする時には、無意識にそれらをキャッチしながら、
互いを理解しあうと思います。
だけど、そういう背景が一切なくても、
言葉そのもの本来の意味だけが、
伝わることもあります。
言葉を発した人が誰であろうと関係なく、
私たちは文字通り「その言葉だけ」を受け取ることができるのです。
それは、言葉そのものに、力があるからだと思います。
例えば、以前、知人に私が両親との関係に問題があることを話すと、
「苦しい状況は、遠くで望遠鏡から覗くように見るといい」
と教えてくれました。
それを聞いて、私は自分の状況に当てはめて、
「心を問題から離すことで、状況を俯瞰すれば、
冷静に状況を把握できて、対処ができる」という意味に解釈しました。
頭で理解しても、なかなか実践するのは難しいことだけど、
なるほど参考にして頑張ろうと思い、
有り難くその言葉を受け取りました。
知人に、「こういうこと?」と聞くと、
言ったご本人は「よくわからない」とぽかんとしていました。
何かの受け売りだったらしくて、
知人は、その意味をわかっていない様子でした。
それでも、その言葉を必要としている私には何か伝わったので、
それでいい。
心の底から、言葉を理解するには、
言葉を自分の中に落とし込んで、言葉と自分が融合する、
自分の中の経験や思考と繋げることが必要だと感じました。
そのためには、自分のなかの引き出しを増やしておくことが
とても大事なのだと。
たまに、感動した出来事や言葉を引用する人の話を聞いていて、
どうにもまったくこちらに感動が伝わってこないことってありませんか?
で、しばらく考えると、ああ、こういうことを言いたいのかなと見えてくる。
そういう時は、多分、その話し手は感動した内容を消化しきれず、
自分の中に落とし込めていないのだと思います。
要所を理解できていないから、言葉が足らなかったり、
ニュアンスが変わってしまったり、うまく説明できない。
感動することと、感動を言語化することは、全く別で、
その間には深いプロセスが必要なのだと思います。
それでも、言葉を受け取る側が、その言葉とつながることができれば、
自分なりに理解を深めることもできる。
その途端、その言葉は、価値あるものになるのだと思います。
そう思って、人の言葉を聞いていると、
興味のない人や苦手な人の話にも、
役に立つものが混ざっているかもしれません。
生きるヒントは、あらゆるところに。
宝物は、あちこちに転がっているかもしれないですね。
#言葉の力 #言語化 #苦手な人の話を聞くコツ
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